ヘリコプター型ドローンの特徴と運用の注意点【二等ライセンス座学】
この記事は「無人航空機の飛行の安全に関する教則」の「5.2 操縦者に求められる操縦知識・6.3.2 回転翼航空機(ヘリコプター)」の内容をわかりやすく解説しております。
マルチローター型・飛行機型のドローンはこちらの記事をご覧ください。
回転翼航空機|ヘリコプター型ドローンの特徴
ヘリコプター型の各部位の名称は上記の通りです。
メインとなるプロペラが目立ちますが、テールローターと呼ばれる尻尾部分にも小さいプロペラがあります。
巨大なプロペラで飛行に必要な揚力を得る。
そしてテールローターでバランスをとります。
メリット
デメリット
ヘリコプター型のドローン
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まずは自宅でトイドローンの練習から始めましょう。
ただしプロペラが大きいので、接触時は怪我をするリスクが高いです。
広めの室内で飛ばすことをお勧めします。
いろんなヘリコプター型のラジコンが出てますが、「ジーフォース」製が有名で無難ですよ。
農薬散布で活躍!産業用無人ヘリコプター
ヘリコプター型のドローンは4枚羽のマルチローター型に比べて、機体下へ巻き起こす風のパワー「ダウンウォッシュ」がとても強いです。
そのため、農薬散布をする時は強いパワーで確実に散布できます。
農薬散布用ヘリ型ドローンは「YAMAHA」の独壇場です。
空撮現場などマルチローター型が一般的ですが、農薬散布の現場ではヘリコプター型はかなり優秀な活躍をしてくれます。
プロペラガードがないので、広い離着陸エリアが必要
流石にヘリコプターにペラガードは無理ですよね😅
ヘリコプター型は、構造上プロペラガードがないことが一般的です。
プロペラガードを装備できるマルチローター型以上に広い離着陸エリアを用意しましょう。
離着陸において、機体と操縦者及び補助者の必要隔離距離を説明書で確認しましょう。
操縦者はドローンと十分な距離を確保することが大切です。
ヘリコプター型ドローン「離着陸」の注意点
①離着陸地点の選定
離着陸は水平な場所を選定。
離着陸直前は、機体が水平な場所を選定しましょう。
傾いた場所ではヘリコプターのテール部分が地面に接触するリスクがあります。
滑りやすい場所を避けること。
離陸前は、ヨー軸まわりの制御が不十分な場合があります。
機体が滑るとヨー軸を中心に回転するリスクがあります。
それなりの大きさのヘリ型ドローンが滑りながらその場で回転する。
想像するだけでちょっと怖いですよね。
砂又は乾燥した土の上は避けること。
ローターのダウンウォッシュによる砂埃等が飛散し、視界を遮るリスクがあります。
ヘリコプター型はプロペラが大きい分、マルチローター型と比べて砂を巻き上げやすいです。
機体の大きさに合わせたヘリパッドなどを常備しておくとよいでしょう。
②ヘリコプターの離陸方法
十分にローター回転が上昇してから、離陸すること
ローター回転が低い状態で無理に離陸させると、機体反応が遅れることがあります。
通常のヘリコプターでも離陸までプロペラをしっかり回した上で離陸してます。
思った以上に離陸に時間がかかります。
テールローターの作用で、離陸時に機体が左右に傾く可能性
傾く方向はローターの回転方向により異なります。
予め傾く方向を確認した上で離陸させましょう。
使っているドローンの特徴を把握しておきましょう。
地面効果の影響を受けない高さまで速やかに
ローター半径以下の高度では、地面効果の影響が顕著となります。
地面効果とは、ドローン自身の起こす風圧そのものが地面に反射して機体の動きに影響を与えることです。
ヘリコプター型ドローンは、プロペラが大きい分、地面効果の影響が大きくなり、低空ほど機体が不安定になります。
離陸後は速やかに地面効果外まで機体を上昇させましょう。
緊急時以外の垂直方向の急上昇は避けること。
ローター回転が低下し、機体が不安定になるリスクがあります。
地面効果の影響が大きい
1枚のプロペラがでかい分、巻き起こす風のパワーもすごい!!
機体高度が、およそメインローター半径以下の低空では地面効果の影響が大きいです。
推力変化及びホバリング時の安定・挙動に注意が必要である。
前進させながら上昇させた方が余計なパワーを削減できるので、垂直上昇はしないほうがよいです。
山間部又は斜面に沿って飛行させる場合、吹き下ろし風が強いと上昇できない場合があります。
山岳救助のヘリでも飛行条件が厳しい印象がありますよね。
ボルテックスリングを予防せよ
垂直降下又は降下を伴う低速前進時は、ボルテックスリング状態となり、急激に高度が低下し回復できない危険性があります。
前進させながら降下することは、ボルテックスリング状態の予防に有効です。
一等|飛行計画を元にしたリスク軽減策
①離陸及び着陸
- 離着陸地点において、機体と操縦者、補助者及び周囲の物件との安全距離を確保
- 地面効果の飛行時間を短くする。
②飛行
- 余裕を持った上昇率を設定。
- ボルテックスリング状態を予防する降下方法。
- 緊急着陸地点の安全確保方法を飛行前に検討
- オートローテーション機能を理解し、飛行訓練を実施する
オートローテーション(自動回転)とは?
万が一のエンジントラブルによって、動力を失った場合でも回転翼機のローターを、プロペラを自然に回転させる機能です。
これによって万が一の場合でも緩やかに降下できるようになってます。
有人タイプのヘリコプターには基本搭載されている安全機能になります。
この機能を使っても安全に着陸できるよう訓練をしているんですね。
一等|リスク軽減策を踏まえた飛行計画
①離陸及び着陸
離着陸地点は操縦者及び補助者と20m以上離れることを推奨します。
その機体の説明書に、推奨距離が書いてある場合はその距離を取りましょう。
離着陸地点は周囲の物件から30m以上離すことができる場所を選定しましょう。
距離が確保できない場合は、補助者を配置するなどの安全対策を取りましょう。
飛行
- 上昇させる場合は、説明書で指定された上昇率で飛行させること。
- 前進させながら上昇させる飛行経路を検討。
- 降下:ボルテックスリング状態にならないため説明書で指定された降下方法を取ること
- 緊急時に備え、緊急着陸地点を事前に選定すること。
- 第三者の立入りを制限できる場所の選定又は補助者の配置
- オートローテーション機能を装備している場合、機能発揮できる条件を飛行計画を立てる
ヘリコプター型の着陸方法
地面に近づくにつれ、降下速度を遅くし、着陸の衝撃を抑えること。
乱暴な衝撃が大きい場合、脚部が変形又は破損するおそれがあります。
地面効果範囲内のホバリングは避けましょう。
ヘリコプター型は地面効果への影響が大きい分、低空でホバリングを維持させず速やかに着陸するようにしましょう。
着陸後ローターが停止するまで、機体に近づかないこと。
プロペラが巨大な分、万が一プロペラに触れた場合のリスクが大きいです。
完全にプロペラの回転が止まってから機体の回収を行いましょう。