ドローンを『イベント』上空で飛行させる『規制』と必要な安全対策
ドローン(無人航空機)のイベント(催し物)上空での飛行要件が変更になりました。
今回は国土交通省から催し物上空での飛行要件が変更になる旨、記載がありましたので、ご紹介していきます。
以下、国土交通省のホームページを引用させていただきながら、解説していきます。
①ドローンをイベント上空で飛行させる上で必要な安全対策
機体の要件
●ホームページ掲載の無人航空機以外の場合には次の要件を追加
申請時と同じ機体の条件下で十分な飛行実績(飛行時間:3時間以上、飛行回数:10回以上目安)を有し、安全に飛行できることを確認していること(新たに飛行時間と飛行回数を申請書に記載することとする)
引用:国土交通省HPより
プロペラガード等の接触時の被害を軽減させる措置を義務化
風速制限
●風速5m/s以上の環境下では飛行させないこと
一定の強風下では墜落の可能性が高まります。
また後ほど紹介するドローンの速度や立ち入り禁止区間とも絡んできます。
いずれにせよ風速計などを使って日頃の会場の風速を調べておくとよいでしょう。
風速計は2000円程度で購入することができますので、日頃から持ち歩いて風速を測る習慣をつけておくとよいでしょう。
肌感覚で風速がわかるようになるのじゃ!
DJIのドローンでGPSと ATTIモードを切り替えた時の動画
ドローンの速度制限
●風速と合わせて7m/s以下になるようにすること
立ち入り禁止区域の設定
以下に図を作成しましたので、よかったら参考にしてください。
横から見た図
上から見た図
飛行高度に応じて立ち入り禁止区間を設定する
上の図の飛行高度(H)に応じて水平距離(L)を確保する必要があります。
飛行高度(H) | 水平距離(L) |
0〜20m | 30m |
20〜50m | 40m |
50〜100m | 60m |
100〜150m | 70m |
上の表は国土交通省から通知があった飛行高度とそれに応じた水平距離になっております。
もしドローンが墜落しても飛行高度に応じて水平距離を保っておけば、人への接触可能性をさげることができるということですね。
[speech_bubble type=”fb-flat” subtype=”R1″ icon=”dronewalkerhodaka.jpg” name=”吉武”] ただし飛行高度100〜150mで水平距離70mの禁止区域で大丈夫かな?と思います。
[/chat]
先の風速と合わせた飛行速度7m/sなんかを元に算出すると上空100m近くから速度7m/sに水平移動しているところから墜落した場合を想定すると、余裕で水平距離70mの外まで墜落する可能性があります。
ちなみに
150m以上飛行させる場合には、立ち入り禁止区間は、150m以下と同じように、機体の質量や形状などを踏まえた上、空気抵抗の影響も考慮して算出した落下地点までの距離の範囲内とする。
引用:国土交通省HPより
となっております。
②例外措置
以下の場合には①を満たさない場合でも飛行を許可する
- 機体に係留装置の装着又はネットの設置等を活用した安全対策を講じている場合
- 機体メーカーが自社の機体の性能にあわせ落下範囲を保証している等、その技術的根拠について問題ないと判断できる場合
引用:国土交通省HPより
この辺りはけっこうざっくりなので、直接国土交通省と連絡を取ってみながらそのイベントに応じて書類の作成なんかをして見たほうがいいかと思います。
実例|吉良ワイキキ空撮コンテストの場合
以前、吉良観光温泉組合さんと主催した吉良ワイキキ空撮コンテストの実例をご紹介します。
結論から言うと、これは
航空法でいう『イベント飛行』に当たらないようにしました。
- 参加人数を20名以下で全員を把握
- 海岸の半分を貸切り
- 立ち入り禁止エリアを設置
- 各ポイントに安全管理員を配置
国土交通省のヘルプ窓口でいろいろと相談させてもらいながら、不特定多数の人が往来するようなイベントにしてしまうと、『イベント扱い』になります。
そのため、参加人数を20名として、参加者全員を当事者にすることでクリアしました。
また会場そのものは貸切りにして、立ち入り禁止エリアと安全管理員を配置しました。
ただし、近所の住民がそこを通過したい場合もあります。
そこがいきなり立ち入り禁止で完全通行不可にしてしまうことは避けました。
その際は誘導員が付き添い会場を横切れるようにしました。
[blogcard url=”https://drone-aerial-corps.com/2018/04/18/kira-waikiki/”]
まとめ|イベント飛行が厳しくなった背景
こちらは2017年11月4日岐阜県大垣市のイベントでドローンの墜落事故により複数の観客に怪我を負わせてしまったことが背景にあげられます。
ドローンは空を飛ぶものである以上、墜落する可能性は常に潜んでおります。
そのため、ドローンパイロットにとって大垣で起きた墜落事故は決して他人事ではないのです。
墜落した時に、墜落した場所に第三者が絶対にいないように事前に安全対策するのは当然のことになります。
- 事前に墜落原因を潰しておくこと
- もし墜落しても、被害が出ないようにすること
私自身自分、この記事を自分に言い聞かせるつもりで書いてますが、この2点を遵守してドローンを操縦すべきです。