ドローンの自動操縦と手動操縦、各メリットと緊急時への対処方法
この記事は「無人航空機の飛行の安全に関する教則」の「5.2.2 手動操縦及び自動操縦」についてわかりやすく解説した記事になります。
すでにドローンを操縦したことがある人ならご存じだと思いますが、無人航空機はとても優れた安定性と高い飛行性能を持っています。
ドローンは操縦者自身がプロポで手動操縦することが基本。
しかし近年では自動操縦できるドローンも多くなっております。
DJIのドローンなど、民生機でも自動操縦できるドローンが販売しております。
自動飛行|ドローン2台を編隊飛行させた映像
4年以上前に撮影したPhantom4Proを使った編隊飛行の映像です。
4年前は非純正「Litchi」というアプリでしたが、今ではDJI純正アプリでも自動航行させることができます。
自動操縦は、専用アプリを使って事前に設定した飛行経路を正確に飛行することができます。
自動飛行のため事前にルートを設定
飛行自体は自動で飛行し、機体のカメラは人で手動操縦できます。
空中写真測量などによる飛行では測地エリアを指定するのみで、自動的に飛行経路や撮影地点をプランニングする機能も備えてます。
人による手動操縦の特徴とメリット
改めて、手動操縦とは人がプロポを使って無人航空機を操縦することです。
操縦者の技術によって飛行高度の微調整や回転半径や航行速度の調整、遠隔地での高精度な着
陸など細かな操作が行えます。
2023年現在、人が手動操縦した方が精度が高い現場が以下の通りです。
- 農薬散布
- 複雑な建築物の点検
- クリエイティブな空撮
まだまだ人がドローンを操縦した場面も多いです。
クリエイティブが発揮される現場は特にそうですね。
手動操縦と言っても、ドローンにはGNSS・電子コンパス・気圧センサなどで非常に安定した操縦が可能です。
機能不全に陥ったときには手動操縦による危険回避が求められる。
手動操縦では難しい現場
定められた航路を高精度に飛行をすること。
これは手動操縦で再現することが難しいです。
同じ現場で決められたルート、全く同じ場所で撮影など高い再現性を求められる操縦には不向きになります。
建築現場の進捗を常に同じ場所から撮影する場合は、以下の述べる自動操縦に任せた方が便利です。
手動操縦におけるヒューマンエラー
手動操縦は無人航空機を操縦者の意思で精細に制御できることがメリットです。
しかし経験と技術が未熟な場合、思わぬ方向に飛行させてしまうリスク・墜落のリスクが高くなります。
これは操縦者がドローンの向きを把握してない場合に起こりやすいです。
近場でもドローンの距離感は掴みにくい
近場のカラーコーンでさえ、ドローンとの距離感が掴みにくいです。
さらに操縦者とドローンの距離が離れると、機体との距離感が分かりにくくなります。
距離感を誤ると、障害物との接触により墜落のリスクが生まれます。
こういったリスク回避するには、操縦者自身が訓練を重ねることが大切です。
ドローンをどんな方向に向けても、瞬時に向きを把握し、操縦者自身が意図した方向や高度に制御できる訓練。
指定された距離での着陸訓練などを繰り返すことが大切です。
ドローンの基本操縦訓練は以下の記事にまとめてます。
自動操縦の特徴とメリット
ドローンを自動航行させる場合、事前にアプリへ飛行ポイント「ウェイポイント」を設定します。
ドローンの飛行を制御するアプリに搭載されている地図情報に、予め複数の飛行時のウエイポイント(経過点)を設定し飛行経路を作成します。
ウェイポイントはただ地図上の位置情報を設定するだけではありません。
ドローンの向きや高度、速度、どこで撮影するかなど詳細な設定ができます。
自動操縦は事前準備が命!!
ほぼこの準備で8割以上決まると言ってもよいでしょう。
現場では、ドローンの挙動に異常がでないか?障害物との接触は亡いのか、安全管理が大切です。
自動操縦が活躍する現場
- 経過観察が必要とされる用地
- 測量
- 離島への輸送
- 生育状況を把握する耕作地
上記現場で自動飛行は重宝します。
手動操縦に比べて、再現性の高い飛行を行うことができることが最大の特徴です。
自動操縦におけるヒューマンエラーは?
ウェイポイント設定時、飛行経路上の障害物等の確認不足。
事前の飛行ルートの設定ミスで、実際の現場では衝突や墜落が発生することです。
ウェイポイントの設定はパソコンやアプリ上で行うことが多いため、現場を見ないまま設定するとこのミスが発生しやすくなります。
設定した飛行経路上の障害物等は事前に現地確認を行うことが大切です。
またいざという時はすぐに手動操縦に切り替えられる準備することも大切です。
自動操縦と手動操縦の切り替えにも注意
自動操縦中、以下のような状況で手動操作に切り替える場合があります。
- 作業指示による手動操縦
- 何らかの原因で不安定な飛行と判断した場合
手動操縦に切り替えた後は、急な航行速度の低下や失速に備えた操作準備が必要です。
障害物への接近を避けるための機体方向の確認、ホバリングしての機体の安定性や周囲の安全の確認などが必要になります。
【一等】カテゴリーⅢにおける自動操縦の注意点
「カテゴリーⅢ」で自動操縦時では、一層飛行に慎重になる必要があります。
飛行経路及び周辺に電柱や送電線・建築物など障害とならない飛行範囲や経路を事前に設定しましょう。
万が一の場合、重大な事故に繋がりかねません。
またどんなに完璧に飛行ルートを設定してもイレギュラーなケースも起こりえます。
トンビやカラスなど野生動物からの妨害を想定しておきましょう。
野生動物の動きや予想がつきませんので、すぐに手動操縦に切り替える体制があります。
緊急時の対応
緊急時は、速やかに近くの安全な無人地帯へ不時着させましょう。
離陸地点などに戻すことなどは考えず、最短距離で安全な場所に着陸がよいです。
そのため、ドローンを飛ばす前に離陸ポイント以外にも安全な場所を確保することが大切です。
機体のフェールセーフ機能
送信電波や電源容量の現象などにより飛行が継続できない場合、ドローンのフェールセーフ機能により、自動帰還モードへ切り替わり、離陸地点へ飛行します。
DJIのドローンでは、ノーコン(機体とプロポの接続が切れて10秒経過)すると自動で離陸ポイントに戻ってきます。
またバッテリー残量が極端に少ない場合は離陸ポイントまで戻ることなくその場で着陸しようとします。
空中で電源が切れると、そのまま墜落してしまうので、その前に地面に安全に着陸しようという機能ですね。
フェールセーフ発動時に「ホバリング、その場で着陸、自動帰還」などの操縦者で設定を行うことができる機種もあります。
事故発生時の運航者の行動について
事故発生時においては、直ちに無人航空機の飛行を中止しましょう。
すぐにドローンの事故現場を把握することが大切です。
そして負傷者がいる場合、最優先すべきは負傷者の安全確保です。
第一にその負傷者の救護及び救急車の緊急通報。
そして事故等の状況に応じた警察への通報、火災が発生した場合は消防へ通報など、危険を防止するための必要な措置を講じましょう。
【一等】カテゴリーⅢ飛行における緊急時対応手順
- ATTIモードによる飛行訓練
- 機体寸法に応じた緊急着陸地点の確保
- フェールセーフがない飛行距離等の把握
- 墜落時の安全優先順位の明確化
- 機体が発火した際の消火方法
- 緊急連絡網の作成
カテゴリーⅢでは、第三者の上空を飛行するため、緊急時への事前準備が必須です。
緊急時の対応が求められた時に備えて、予め対応手順を決め速やかに緊急対応作業が行えるよう継続した訓練をしておきましょう。