MATRICE200(マトリス)+ZENMUSE Z30のズームカメラを消防・災害現場で活用する方法を考えてみた
MATRICE200シリーズのドローンを
災害現場で活用することを考えてみた
どうもDRONE WALKER(ドローン ウォーカー)編集長の吉武穂高です。
最近、とても気になり始めたMATRICE200シリーズのドローン。
前回の記事で、焼津市で活用されているドローン運用の実例と救助用にカスタムされたInspire2(インスパイア2)を紹介しました。
https://drone-aerial-corps.com/2018/04/03/inspire2-rescue/
どうもその辺りから、今の民生機のドローンでもそれなりに有効活用できるのはと、可能性が見えてきたんですよね。
私自身がMATRICE200シリーズのドローンのスペックがとても気になり出したので、実際どのような装備品やカメラが災害現場などで使えるのかいろいろと考えてみました。
今回は『マトリス200』シリーズの紹介だぞ!
MATRICE200シリーズの基本スペック
- 最大飛行時間:38分
- 伝送距離:4km
- ペイロード重量:2kg
- デュアルバッテリー・パワーシステムが、氷点下での飛行中も自動でバッテリーを温める
- 17インチプロペラと高性能モーターの組み合わせで、強風時でも安定して飛行
- 密閉型の防滴設計で悪天候にも強く、さまざまな環境下で飛行可能
といったようにこれまでのDJIドローンと比較しても過酷な環境でフライトできるような設計になっています。
通常空撮を楽しむ程度であれば、大げさな機能ですが、災害時はさまざまな環境でもフライト対応したドローンの能力が求められます。
さらに最大の特徴は産業分野や高性能なカメラを積載できることにある!
産業分野、映像分野で活躍する特殊カメラ
- ZENMUSE X4:Phantom4Proと同じくらいの性能のカメラ
- ZENMUSE X5:Phantom4Pro以上のカメラ(Inspire2を導入するならX5以上がおすすめ)
- ZENMUSE Z30:30倍光学ズームのカメラ(後ほど解説)
- ZENMUSE XT:赤外線カメラ
- ZENMUSE XT2:赤外線カメラ+可視光カメラ
Inspire2に積載するZENMUSE X4SやX5Sはもちろん、それ以上の高精度のカメラを搭載できます。
光学30倍ズームで点検から探索活動
マトリス210に『Zenmuse Z30』のカメラを搭載することで、約450m先の看板の文字を読み取ることができます。
これは非常に驚異的で、被写体に近づくことなく遠くの点検や探索を行うことができるため非常に有効に活用することができます。
MATRICE200の価格は?どこで購入するの!?
DJIの産業用ドローン、MATRICE200や600シリーズなど『DJIのウェブサイト』にも価格は設定されておりません。
これは日本の各代理店がそれぞれ依頼があった時に見積もりを出すことになっております。
DJIが各代理店に最低卸価格みたいなものは提示していると思いますが、そこから先の顧客に対して利益を乗せて販売しております。
産業用ドローンは各会社使用方法が異なるため、そのニーズにマッチしたアフターサービスも含まれてきます。
商用の『Phantom』や『MavicPRO』などと違って売ったら売りっぱなしというわけにもいかないレベルになります。
概ねの価格は聞くところによると『Matrice210』に赤外線カメラなども見積もったりすると概ね200万円程度になるみたいです。
おそらく本体は100万円程度、カメラ類などもかなり高額ですので、その組み合わせ次第という感じにみてもらえればと思います。
日本の代理店、数社に相見積もりするのがベター
購入する場合、以下の2択になります。
- DJIの公式サイト
- 日本の正規代理店
上記2択になります。
といってもDJIに見積もり依頼を出しても、そこから日本の正規代理店への見積もりになります。
上記写真は『DJI公式サイト Matrice200』の商品紹介のページですが、問い合わせフォームにも代理店から注文という形になります。
そのため、DJIの正規代理店数社に対して相見積もりを出して比較するのが一番だと思います。
もちろん価格のみで決めるのではなく、その後のアフターサービスの質や活用方法などトータルで検討して購入する会社を決めるべきかと思います。
私自身、DJIのドローンを直接販売する機会も多々あり、仕入れ先も複数確保しております。
MATRICE200の活躍が期待できる分野
- 送電線の点検・検査
- 捜索救援活動
- 風力発電所の点検・検査
- 橋梁の点検・検査
などなど様々な産業シーンでの活用が期待されます。
ただ単純に撮影するだけであれば、Phantom4Proなんかでもいいような気がしますが、次にご紹介するカメラが産業シーンや災害活動時にかなり有効だと思います。
MATRICE200シリーズ災害時に活用するために求められる3つの機能
- 耐候性:天候を選ばずにドローンを運用できる
- 高倍率カメラ:墜落や衝突リスクを避ける高倍率のカメラ性能
- 赤外線カメラ:人命検索や消火活動に有効活用
ざっくりあげると上記3つの機能が大規模災害から火災現場などにおいて必要な機能になるのかなと思います。
場所や天候を選ばず飛ばせるドローン本体と、墜落リスクを避けた上で人命検索を有効に実施できるカメラ機能といった感じですかね。
https://drone-aerial-corps.com/2018/04/03/inspire2-rescue/
ZENMUSE Z30|光学30倍ズームではるか遠方の状況を確認できる
災害時の探索活動に非常に面白いとおもったのが、ZENMUSE Z30のカメラです。
このカメラの特徴は30倍の光学ズームができること。
要は点検業務などにおいてドローンを点検する対象に近づけすぎるのは相応のリスクがあるため、離れた場所からズーム観測することができるカメラになってます。
実際に30倍の光学ズームをしている映像がこちら
上記の動画を見ていただければわかるように結構な距離があってもここまで鮮明に見えるのかというほどに素晴らしいカメラ性能を持っています。
大規模災害時に遠方までドローンを飛ばすリスク
大規模災害時などにおいて、ドローンを操縦者から離して遠方まで飛ばすにはそれ相応のリスクがあります。
逆にその場から離陸し、上空に飛行させた状態からはるか遠方までズームレンズを搭載したカメラで見通すことができれば安全に現場活動を実施することができます。
これ1km先、2km先までドローンを直接飛ばすのが安全か、その場からズームレンズで見てしまうのが安全かと考えるとかなり有効な活用方法なんじゃないかと思います。
まあ実際に現場近くまで行かなければわからないこともあるので、比較することはナンセンスかもしれませんが、十分に有効活用はできると思います。
また火災現場などで煙が上がっている状況で不用意に近づけない場所でも離れた場所から火点の確認や状況把握に役立ちます。
Zenmuse XT2|捜索・消化活動に役に立つ赤外線カメラ
これ2018年4月に発表されたばかりの新しいカメラ機材です。
詳細なスペックや評価はまだわからないことが多いですが、ざっくり言うと
- 赤外線カメラ
- 可視光カメラ
のふたつがくっついたカメラになります。
赤外線カメラで見えない世界をみる
赤外線カメラを使うことで、人の目では見えない世界をみることができます。
それぞれの産業分野や点検業務、人命検索などでも有効に活用されることが期待されます。
Introducing the Zenmuse XT2
赤外線カメラは太陽光パネルの点検にも役にたちますが、消防・防災分野では火点の検索や人命検索に役に立ちます。
DJIフライトシミュレーター
2018年11月にDJIから超リアルなフライトシミュレーターが登場しましたので、仮想訓練に最適です。
https://drone-aerial-corps.com/2018/11/01/dji-flight-simulator/
ブラザーヘッドディスプレーAiRScouter
こちらはマトリスとはまた別ですが、ブラザー工業さんから販売されているブラザーヘッドディスプレーAiRScouter(エアスカウター)は活動時にかなり有効に活用できると思っています。
目視しながら画面モニターをリアルタイムで確認できるため、墜落のリスク軽減とより精度の高い探索活動を実施できます。
https://drone-aerial-corps.com/2018/04/02/air-scouter/
まとめ
やはり産業用ドローンならではの機体、カメラ性能もまた別の活動の役割がありますね。
DJIの民生機であるPhantom4ProやInspire2は搬送もしやすくセッティング時間も短く済むので小回りの効いた情報収集や捜索活動の活躍が期待されているドローンですね。
いろいろ考えてみると今あるドローン機材でも様々な可能性が見えてきますね。